ウラジーミルの微笑

池澤夏樹=個人編集 世界文学全集の全巻読破を目指します

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1-09『アブサロム、アブサロム!』ウィリアム・フォークナー/篠田一士訳

ディケンズ時々バルザック、そして それが思い出というものの実体なのです―知覚、視覚、嗅覚、わたしたちが見たり聞いたり触れたりするときの筋肉―心でもない、思考でもないもの。どだい記憶などというものはありません。それらの筋肉が探りあてるものを脳髄…

『ロビンソン・クルーソー』ダニエル・デフォー/平井正穂訳

物語の命脈 それからもう一つ面白いことは、三人しか臣民がいないのに、三人とも宗派がちがっていることであった。従者のフライデイはプロテスタント、その父は異教徒で食人種、スペイン人はカトリックだった。しかし、ついでながら、私は自分の全領土を通じ…

1-06②『戦争の悲しみ』バオ・ニン/井川一久訳

翻訳の悲しみ キエンは自分の精神の復活、心理的活性の回復を感じた。それは過去への復活だった。過去へ、さらに過去へ―彼の心は過去への溯航距離を日ごとに伸ばすだろう。彼の脳裡に立ち現れる過去の事物と人間の連鎖の中で、彼の精神は絶えず復活を繰り返…

1-04③『悲しみよ こんにちは』フランソワーズ・サガン/朝吹登水子訳

プルーストはお好き? <<感想>> ものうさと甘さとがつきまとって離れないこの見知らぬ感情に、悲しみという重々しい、りっぱな名をつけようか、私は迷う。その感情はあまりにも自分のことだけにかまけ、利己主義な感情であり、私はそれをほとんど恥じている…

1-01『オン・ザ・ロード』ジャック・ケルアック/青山南訳

カウンター・カルチャーの「王道」 とつぜん、気がつくとタイムズ・スクエアだった。アメリカ大陸をぐるりと八〇〇〇マイル(12785km)まわって、タイムズ・スクエアに戻ってきていた。ちょうどラッシュアワー時で、ぼくの無邪気な路上の目に、ドル札めざして…