ウラジーミルの微笑

池澤夏樹=個人編集 世界文学全集の全巻読破を目指します

文体を味わう

『マンスフィールド・パーク』ジェイン・オースティン/中野康司訳

機動戦士オースティン 臆病なファニーから見ると、ミス・クロフォードの乗り方はびっくりするほど上手だった。それから数分後に、ふたりの馬は停止し、エドマンドはミス・クロフォードのそばへ行って何か話しかけ、手綱の使い方を教えるために彼女の手を取っ…

『セバスチャン・ナイトの真実の生涯』ウラジーミル・ナボコフ/富士川義之訳

セバスチャン・ナイトは私だ きみと一緒の生活はすばらしかった―そしてぼくがすばらしいと言うとき、ぼくは鳩や百合の花、そして天鵞絨(ヴェルヴェット)、さらにその単語のあの柔らかなVと長く引き伸ばしたlの音に合わせて反り上がったきみの舌の反り具合の…

1-04②『愛人 ラマン』マルグリット・デュラス/清水徹訳

早すぎたケータイ小説 この川はカンボジアの森のなかのトンレサップ湖から始まり、出会うものすべてを拾い集めてここまで来た。それは訪れてくるものすべてを連れてゆく、藁小屋、森、消えた火災の残り、死んだ鳥、死んだ犬、溺れた虎、水牛、溺れた人間、罠…

1-02『楽園への道』マリオ・バルガス=リョサ/田村さと子訳

西欧の接ぎ木 「フローベールの小説『サラムボー』を読んだことがあるかね、牧師」とコケは訊ねた。 (中略)コケは彼に、あの本はとても素晴らしい本だったと言った。フローベールは燃え立つような色彩で、ひとつの野蛮な民族の偉大な活力や生命力、創造力…