東欧文学
手錠かけられるのは只あたしだけ そもそも、そういう話が語られることがあるとすれば、僕が唯一の語り手のはずだった――物語を語ることにおいては、僕は一族でただひとりのプロなのだから。(p.162) <<感想>> 本作は一応、連作短篇ということになっているが、…
いつのことだか思い出してごらん ドイツ人は毒ガスを発明し、イギリス人は戦車を発明し、科学者は同位体元素や一般相対性理論を発見した。この理論によると、形而上学的なものは一切なく、すべては相対的であるという。(p.5) <<感想>> 「二〇世紀史概説」で…
絵もない花もない飾る言葉も 彼らの存在の危うさ、はかなさ、存在の目的と意味について考える。存在意義など、だれも—彼ら自身でさえも―問うたりしないのだが。(p.321) <<感想>> どうせこの第3集って、目玉はフラバルでしょ?という(大方の)見方を見事に…
おまえの手で漕いでゆけ お金を出せば、美女だけではなく、ポエジーも買うことができるのだ。(p.19) <<感想>> 最初に宣言しよう。この作品はおススメである。 それも、高校生くらいの方が読むと面白いんじゃなかろうか。もっといえば、家庭や学校の方針でア…
恋愛観や感情論で愛は語れない あの父の天才的な姿がこの話から、この小説から消えてしまってから・・・、歯止めがきかなくなってしまった。・・・今やたががはずれ、話の葡萄酒、果物の魂は流れ出し、それを皮袋にもどし、話にまとめ、クリスタルのグラスに…
バッドエンド至上主義 「アラン、見せたい物があるの」と、最高にへりくだったメロディアスな声で言った。(へだてのない言葉遣いができるように彼女はベンガル語で話していた。二人称が you 一つしかない英語の平板さが不服だった。)(p.102) <<感想>> 文明…
重いクンデラ試練の道を あいかわらず四つん這いになっていたトマーシュは、後ずさりし、体を縮めて、ウワーッと唸りだした。そのクロワッサンのために闘うふりをしてみせたのだ。犬は主人に自分の唸り声で応えた。とうとうやった!それこそ彼らが待っていた…