評論作品
帰りたくないから止めないで 世界文学を読むとは、実はそのようなぐらぐらした、不安定な流れの中に身をゆだねることなのです。たとえるなら、きっちりとしたかたちのあるものではなく、不断に更新されるソフトウェアなのです。(p.14,まえがきより) <<感想>…
ほっぺがおちても知らないぜ ・・・ロシア文学に現れたサモワールは、・・・平和な家庭生活のシンボルであり、家族をつどわせる必需品である。(p.240) <<感想>> 読むとロシア文学が読みたくなる素晴らしい本。 表題のとおり、テーマは「ロシア文学×食文化」…
千の夜を飛び越えて走り続ける 英語とロシア語こそが、ナボコフにとっては真の「笑いと嘆き」(laughing and grief)*1の言語なのだ。 <<感想>> 『世界文学とは何か?』、本書のタイトルはわかりやすいようで捉えどころがない。その内実は、全く新しい「世界文…
そして世界中で叶わぬ恋にお悩みの方 それでもこれでもういい、ということがないのが世界文学だ。そして人生も。(p.381) <<感想>> 読むと文学がさらに好きになる素晴らしい本。 『世界は文学でできている』【過去記事】のシリーズ最終回。今回は4名との対談…
僕の前に道はない僕の後ろに道は出来る チェコの文学に限らず、相互関係やフィードバックがあるのが現代の文学なのだ。(p.209) <<感想>> フランシスコ・ザビエルが何人だかご存じだろうか?スペイン人?ポルトガル人?私も意識したことはなかったが、正解は…
少女の頃に戻った夢 ・・・すべてが絶望に覆われそうになっても、それでも消すことのできない希望の光もあることはわかっています。・・・文学には希望がある。私が言いたいのはそれだけです。(p.10) <<感想>> 読むと日本文学が読みたくなる素晴らしい本。 …
いつまでも君に捧ぐ だからいい要約かどうかは別にしても、要約することにはその作品のエッセンスを自分なりに掴むという効用がある。(p.157) <<感想>> 読むと詩を読みたくなる素晴らしい本。 前作【過去記事】、前々作【過去記事】に続く第三弾。本書の概要…
新しい世界のドアを開く勇気 どんなに親しい友人でも、恋人でも、あなたの代わりに本を読んではくれない。(p.354) <<感想>> 読むと外国語の勉強がしたくなる素晴らしい本。 前作『世界は文学でできている』【過去記事】の続編である。本書の概要は前作の記事…
愛のままにわがままに 読書というのはそんなふうに自由な運動であるべきものです。ある一つの作品を読んで、そこに凝り固まっておしまいにするのではなく、そこからまた別の世界が広がってくる、つまりいままで面白く思えなかったものががぜん面白く読めるよ…
人類に逃げ場なし 知識は「価値自由」でなければならぬという主張も、それ自体、ひとつの価値判断である。(上巻、p.54) <<感想>> 『文学とは何か』という表題に騙されていはいけない。 本作は、文学批評というジャンルの入門書か、あるいは教科書的な作品だ…
歴史のお勉強 古典時代から文学とは、有用性(use)を娯楽性(delight)でくるむものとみなす考え方が支配的であったが、市民社会はこの考え方を強めこそすれ、弱めることはなかった。(p.85) 小説は市民階級のためのジャンルである。・・・そして十八世紀を…
セカイ-内-存在 小説は固有の仕方、固有の論理によって、人生の様々な諸相を一つひとつ発見してきた。すなわち、セルバンテスの同時代人たちとともに冒険とは何かを問い、サミュエル・リチャードソンとともに「内面に生起するもの」を検討し、秘められた感情…