月刊少年ピップ
まったくいやな天気で、暴風雨だったし、通りはどこもかしこも一面泥、泥、泥だった。来る日も来る日も、茫洋として深く垂れこめる雨雲が東方からロンドン上空へ押し寄せてきたが、東方の雲と風とは無尽蔵だぞといわんばかりに、あいかわらず次から次へと押し寄せてくるのだった。(下、p.118)
<<感想>>
すぐにでも読みたいが、少なくとも二十数冊先まで読む順番を決めてしまっているからなかなか取りかかれない。
ディケンズ作品を読むにあたって、本当はそのナボコフ先生イチオシの『荒涼館』を読みたかった。でも、買い進めている岩波版をアマゾンが2巻までしか持ってこないから(未発売だとかいうちっぽけな理由で)、こちらを読むわけにはいかない。
さて、『大いなる遺産』は、『アーダ』のように最初から単行本として世に出る作品と異なり、そもそも月刊連載の作品だった。連載小説の特徴といえば、やはりプロットの推進力だろう。プロットが退屈で読者に飽きられれば、編集者なり請求書なりに直ちに打ち切られてしまう。我が国では『坂の上の雲』も連載作品だし、その他の国では『モンテ・クリスト伯』ももとは連載小説だ。
ところが、本作にはその『モンテ・クリスト伯』や同じイギリスの『ロビンソン・クルーソー』などのプロット一本槍の作品とは異なる味わいが秘められている。
- 作者: ディケンズ,石塚裕子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2014/11/15
- メディア: 文庫
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