ウラジーミルの微笑

海外文学・世界文学の感想を長文で書くブログです。池澤夏樹世界文学全集の全巻マラソンもやっています。

その他

完読総評! 池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 全冊

輝く時間を分けあった あの日を胸に今日も生きている 2017年7月13日に最初の一冊を読んで、約5年半もかかったこの企画。途中に『失われた時を求めて』を再読したり、ナボコフ・コレクションを読んだり、まるっきり初心者から1年かけて将棋の段位を…

総括&お気に入りランキング! 池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集

明日の月日のないものを 第2集読了からは約4か月。順調にあちこち浮気してようやく第3集も読み終わった。 今回は別に全体総括の記事を用意しているため、この3集について書くか迷ったが、せっかくだから書いてみることにした。 作品数が4作+短編という…

3-06『短篇コレクションⅡ』アレクサンドル・グリーン他/岩本和久他訳

変わりゆく街は明日なき無情の世界 さて、短篇コレクションも2冊目。とうとう本全集最後の1冊となる。 前回同様、概要/背景/本のつくり欄も省略で、書きたい部分だけ各作品の項目で触れることにする。また、本巻は2023年4月現在まだ手に入るようだが、各作…

水平読みと垂直読みについて

この世はでっかい宝島 ワインのテイスティング用語で、水平試飲と垂直試飲という言葉がある。 水平試飲というのは、ヴィンテージを固定した上で、同じ畑の違う生産者のワインとか、同じ生産者の畑違いのワインとかを飲み比べることをいう。垂直試飲というの…

3-05『短篇コレクションI』フリオ・コルタサル他/木村榮一他訳

二人ここから 遠くへと逃げ去ってしまおうか 冒頭に引用が来ないとしっくりこないね!でも、アンソロジーなので、引用は各作品の項目ですることにしました。また今回は概要/背景/本のつくり欄も省略で、書きたい部分だけ各作品の項目で触れています。 本巻は…

『世界文学アンソロジー いまからはじめる』著者27名/編者5名

帰りたくないから止めないで 世界文学を読むとは、実はそのようなぐらぐらした、不安定な流れの中に身をゆだねることなのです。たとえるなら、きっちりとしたかたちのあるものではなく、不断に更新されるソフトウェアなのです。(p.14,まえがきより) <<感想>…

版元よりも詳しい白水社エクス・リブリス全巻リスト

table { border-collapse: collapse; } th { border: solid 1px #666666; color: #000000; background-color: #ff9999; } td { border: solid 1px #666666; color: #000000; background-color: #ffffff; } 当ブログではまもなく、池澤夏樹=個人編集 世界文…

総括&お気に入りランキング! 池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第2集

熱き血潮の冷えぬ間に 4年もぶん投げておいてしれっと帰ってきました。不死鳥のように舞い戻り第2集を読了したので、第1集のときに倣って総括をしたい。 第2集も全12冊。1冊に複数の作品を収録しているものもあるため、作品数は全部で18となった。…

海外文学を読むための海外文学10選+α

詩人がたったひとひらの言の葉にこめた でもその前に、一日には引用が欠かせない。(『黄金虫変奏曲』p.228) とても長い前置き 昔、「ジンプリチシムスの部屋」というサイトがあった。スマホどころかブログもなく、おうちのパソコンでネットサーフィンして個…

『『その他の外国文学』の翻訳者』白水社編集部編

僕の前に道はない僕の後ろに道は出来る チェコの文学に限らず、相互関係やフィードバックがあるのが現代の文学なのだ。(p.209) <<感想>> フランシスコ・ザビエルが何人だかご存じだろうか?スペイン人?ポルトガル人?私も意識したことはなかったが、正解は…

原作『失われた時を求めて』愛読者が観た映画「スワンの恋」

インターミッション 公開セミナー「新訳でプルーストを読破する」【過去記事】の公式twitter【参考リンク】にて、映画「スワンの恋」がテレビ放送されると知ったので、せっかくだから鑑賞してみた。 ところで、私は普段ほとんど映画は見ない。このため、俳優…

潜入レポート:公開セミナー「新訳でプルーストを読破する」(2017~2019)

セミナー参加録 先日(2018年8月26日)、プルーストの『失われた時を求めて』に関するセミナーに参加させていただいた。 最初にどさっとそのセミナーの基本情報をご紹介したい。 名称:公開セミナー「新訳でプルーストを読破する」 司会:坂本 浩也 教授(立…

総括&お気に入りランキング! 池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第1集

命短し本読め乙女 ブログ開設からはや10か月。ようやく池澤夏樹=個人編集 世界文学全集の第1集を読了したので、ここらで一度総括をしたい。 第1集は全12冊。1冊に複数の作品を収録しているものもあるから、全部で18の作品があった。なお、うち1つ…

勝手に宣伝「ナボコフ・コレクション」

新訳出来! twitterでやれ。といわれそうだけど、アカウントを持っていないのでブログで。 一か月ほど前だろうか。amazonがナボコフ先生の新訳情報を持ってきた。 気を効かせてカートにでも、いや自宅の宅配ボックスにでも入れておいてくれていれば良かった…

注釈について

世の中は桃とりんごでできている 注釈が好きだ! 割注*1も、脚注*2も、後注*3もみんな大好きだ! 「14へ行け」*4などと言われるがまま、あっちへこっちへ行ったりきたり。そんなゲームブックみたいな読書も大好きだ。 本文などは注釈の前に平伏すがいい。そ…

作品の分類について

わたしはあなたがたに、精神の三段の変化について語ろう。どのようにして精神が駱駝となるのか、駱駝が獅子となるのか、そして最後に獅子が幼子になるのか、ということ。『ツァラトゥストラはこう言った(上)』(岩波文庫、p.37) 「彼は「ポルノ」の定義を…

このブログのテーマ

念願かなって作り付けの本棚(家付き)を手に入れた。 フローベール(フ3-1)にナボコフ(ナ1ー2)が寄り添ったのに、妻が「いいね!」と言ってくれなかったから今日は本棚記念日じゃない。 腹いせに、これも念願だった池澤夏樹=個人編集 世界文学全集…