ウラジーミルの微笑

池澤夏樹=個人編集 世界文学全集の全巻読破を目指します

フランス文学

1-10①『アデン、アラビア』ポール・ニザン/小野正嗣訳

孤独な旅行者の夢想 万事上々。祈りとアブサンがゲームに加わって、文明国の市場では植民地株が上昇する。(p.30) <<感想>> なかなかどうして快作である。 本書をごくごく簡単に要約するとこうなる。 20世紀初頭、一人のフランス人の若者がアラビア半島のアデ…

1-04③『悲しみよ こんにちは』フランソワーズ・サガン/朝吹登水子訳

プルーストはお好き? <<感想>> ものうさと甘さとがつきまとって離れないこの見知らぬ感情に、悲しみという重々しい、りっぱな名をつけようか、私は迷う。その感情はあまりにも自分のことだけにかまけ、利己主義な感情であり、私はそれをほとんど恥じている…

1-04②『愛人 ラマン』マルグリット・デュラス/清水徹訳

早すぎたケータイ小説 この川はカンボジアの森のなかのトンレサップ湖から始まり、出会うものすべてを拾い集めてここまで来た。それは訪れてくるものすべてを連れてゆく、藁小屋、森、消えた火災の残り、死んだ鳥、死んだ犬、溺れた虎、水牛、溺れた人間、罠…

1-04①『太平洋の防波堤』マルグリット・デュラス/田中倫郎訳

オイディプス女王 ≪感想≫ ソフト帽は映画からそのまま脱け出たみたいだ―女の件で気がむしゃくしゃするから、財産を半分賭けに、四十馬力の車に乗ってロンシャン競馬場へ行く前に無造作にかぶるような帽子である。(p.32) 清々しいほどつまらなかった。 あまり…

『モンテ・クリスト伯』アレクサンドル・デュマ/山内義雄訳

モンテ・クリスト・ナンバー1 「学ぶことと知ることとはべつだ。世の中には、物識りと学者とのふた色があってな。物識りをつくるものは記憶であり、学者をつくるものは哲学なのだ。」 「ではその哲学が習えましょうか?」 「哲学は習えぬ。哲学とは、学問の…